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【観劇】舞台「カレイドスコープ」|その選択は正解か。

この選択が正解だったかわからない、と吉谷光太郎さんは言った。

新型コロナウィルスの影響で演劇も公演中止が増え出した2月、舞台「カレイドスコープ -私を殺した人は無罪のまま-」は予定通り幕を開けた。

最終日、出演者の1人がインフルエンザに罹り昼公演は中止、夜公演はその代役に演出の吉谷さんが入り行う、異例の事態となった。

昼公演のチケットを持っていた私は代役の報にますます夜公演が観たくなって、一緒に来ていた妹とあわてて譲渡してくれる人を探して(当日券も出るはずだけど確実に観たかった)、夜会う約束をしていた友人も巻き込んで、そして観た。

ひとりひとりの選択によって死んだ少女。ガラスコップに注がれた水が表面張力で容量以上にはりつめて、もう一滴でこぼれてしまうように、その結末を自分で選択していなくなってしまった。過去の選択と、それが引き起こした事を追っていく物語。

代役の吉谷さんは恐らく台本を入れたタブレットに目を落としながら、気弱な担任役を演じ切っていた。台本を読んでいると見えてしまうことはあるが、ふと本当に先生にみえることもあった。背格好もふるまいも違う一回限りの代役に対して、集中を切らさない他の俳優も凄かった。"The show must go on. (ショーは続けなければならない)" 、という意志が充満していた。

「この選択が正解だったのか、今でもわからない」カーテンコールで吉谷さんはそう語った。社会情勢、急病、たくさん悩まれたのだろうと思う。いつだってその時はそうなるなんて思わないのだ。正解かどうかは視座で異なり、時によっても違う不定形なものだ。正解のない世界で、それでも私たちは選択して生きていかないと行けない。ショーは続けなければならない。

 

 

(いやでもほんとに観れて良かった〜)(欲を言えばジェーが演じているのもみたいよ〜)(舞台がみたいよ〜)